間違った準備体操は怪我のリスクがある?
スポーツや運動を行う前に必ず行う準備体操や準備運動。
この2つの違いをテニスやスポーツをされる皆さんは理解できているでしょうか?
準備体操と準備運動、間違った認識を持っていると怪我や故障のリスクとなり危険です。
特に体の冷える冬場には怪我が多発しますので、間違った準備体操には注意が必要です。
準備体操はいらない!?
スポーツをする前
「怪我しそうだから、足を伸ばしておこう。」
これはかなり多くの方がやっていることではないでしょうか?
でも実はこれ、怪我の予防にはなりません。
むしろ、怪我をするリスクを高めてしまいます。
特に冬場に固まった筋肉や腱を、いきなり伸ばしてしまうことは、それ自体が怪我を誘発する可能性を秘めています。
また筋肉や腱を引っ張ることによって、関節の稼働域を強制的に広げてしまうので、スポーツ中の肉離れや脱臼などの怪我のリスクが高まってしまいます。
ですから 「準備=体操=ストレッチ」 という認識は捨て去らなければいけません。
でも、いきなりスポーツをしても怪我をしやすいのは事実です。
ではいったいどうすれば良いのでしょうか?
準備運動とは体温を上げること
皆さん、「なぜ準備体操を行うのか?」と聞かれたら、それはもちろん動く(スポーツをする)為の準備ですよね。
ほとんどの方は「いきなり動くと怪我をしやすいから」と答えると思います。
もちろん、それは間違いではありません。
でも準備体操をしないからといって、日常生活の中でバスに乗ろうとして走ったら怪我をしたとか、駅の階段を1段飛ばししたから肉離れしたとか、こういったことはあまり耳にしませんよね?
もちろん「怪我の可能性」という意味では0%ではありませんが、体操をした場合としていない場合でどれくらいの差がでるのかは疑問が残ります。
一方、スポーツをしない人でもスポーツをする人でも共通しているのが、冬場の筋肉系のトラブル。
特に朝起きようとして腰を痛めてしまったとか、顔を洗おうとしてかがんだらぎっくり腰に、という事はかなり多いケースだと思います。
では、この2つにはどんな違いがあるのでしょうか?
その答えは、体操をしたか・体操をしなかったか、ではなく、体温が上がっているかどうかが問題なのです。
俗に言う体が温まっている状態かどうかで怪我のリスクは変化するのです。
野球選手やサッカー選手が冬場に南国でトレーニングすること、夏場に強度の高い練習をしても怪我のリスクが少ないこと、これらはどちらも気温と怪我のリスクの低さが関係しています。
上記で例に上げた、バスに乗るとか駅の階段というシーンで言うと、既に家からバス停まで歩いてきている(軽い運動をしている)はずなので、体は温まっていて軽く動いたりしても怪我をすることが少ないのです。
(上記の例は、強度の低い運動ですから、準備運動も日常の行動レベルでも良いことになりますが、テニスなどの激しいスポーツをする場合は、それに比例した、しっかりとした準備運動が必要になります。)
一方、冬の朝方は外気温がとても低く寒いので、筋肉も固まっています。
そういった状態でいきなり動く(体操やストレッチで筋肉を伸ばす)と、筋肉がついていけず怪我の原因となってしまうのです。
これはスポーツにも置き換えることができ、怪我のリスクは体操の有無が問題なのではなく、気温や体温と関係しているのです。
効果的な準備運動(準備体操)
適切な準備運動とは、体操をすることではなくて『体を温めること』とご紹介してきました。
では具体的に体を温めるとはどういうことなのかと言うと、それは心拍数を上げて代謝が上がっている状態のことを指します。
一度心拍数を高く上げると体の代謝が上がって筋肉が温まり、怪我の予防に繋がるという関係になります。
それでは、どのような準備運動をすればよいのかご紹介したいと思います。
まず基本的なところで言うと、軽いジョギングがスタンダードな準備運動です。
徐々に体を温めていくことができ、芝生や土の上で走ることができれば膝への負担も軽減されます。
ジョギングは、アキレス腱を伸ばしたり屈伸運動したりするよりも、よっぽど怪我の予防になります。
また、その場駆け足やもも上げなどをゆっくり始めていくのも効果的で、心拍数が上がりやすく準備運動に最適となります。
これらの準備運動は、子供に限らず大人にも有効です。
「準備体操=伸ばす」という考えは一度綺麗さっぱり捨ててしまって、『体を温める』という考えを持つと怪我の予防に繋がりますよ。
体操やストレッチは運動後や寝る前に行う
ここまで体を温める大切さをご紹介し、体操やストレッチはまるで悪のような言い方をしてきましたが、それは運動前の話しです。
体操そのものは、稼働域の向上と疲労回復に大きな役割を果たす、効果的なトレーニングです。
(稼働域というのは、手や足などの関節がどれくらいまで動かすことができるのかという範囲ですが、テニスや各種スポーツにおいて稼働域が広いという事は、技術の向上や成績にも大きく関係します。)
運動後の体操やストレッチであれば、腱や筋肉は温まっている(動く状態)ので、強度の高いストレッチを行っても怪我のリスクは低くなります。
またクールダウンと呼ばれる運動後のストレッチでは、心拍数をゆっくり戻し、体全体の血流を良くしてくれる効果があります。
クールダウンを行うと興奮状態から正常状態にゆっくりと戻れるので、リラックスできたり、寝つきがよくなったり、深い眠りに入りやすくなったりして、疲労の回復が早まります。
このように体操やストレッチは運動後に行う事が大切であって、運動前に行うことではありません。
「運動の前に体操」
こういった習慣化してしまった間違いを、少しでも多くの方に知ってもらえれば幸いです。