バックハンドが苦手な子供の練習方法
まだテニスをはじめて2年~3年のキッズ・ジュニア世代の子供というのは、総じてバックハンドが苦手な子が多いです。
私の娘もそうでした。
フォアハンドはそこそこ上手に打てるのに、バックハンドになるとフレームに当ててしまって打ち返せなかったり、手打ちになっていたり。
バックハンドはフォアハンドよりボールの距離感をつかむのが難しいですし、体の向きを変えることを覚えるのに苦労します。
今回は、そんな苦手な子供が多いであろうバックハンドの練習方法についてご紹介していきたいと思います。
バックハンドは体の向きから
まずはバックハンドストロークの基本から抑えておきましょう。
バックハンドストロークでボールを打つ時は、ボールまで移動してから「体の向きを変えて打つ」という動作になりますが、打ちたい方向とは別の方向に体を向けるという動作は、子供にはなかなか難しく理解しにくい動きです。
子供は本能的に早くボールを打とうとしてしまうので、体が前を向いたまま打ってしまう子が大半。
そういう子供は、打ち終わりにバレリーナのように体ごと回ってしまうか、手首だけを返して打つことになるので、間違っていることが分かりやすいです。
このような打ち方になってしまっている原因は、ほとんどの場合足の使い方が間違っています。
テニススクールなどではラケットの動きや振り方を指導することが多いようで(肩までフォロースルーをすることなど)、足の使い方を丁寧に指導しているスクールはまだまだ少ないと思います。
バックハンドストロークの基本として1番大切なのは、テイクバックの際2歩目の右足(利き手と同じ足)が左足より前に行くこと。
難しいことは言わなくても、子供にはたったこれだけでOKなのです。
この形になると自然と右肩が中に入って、体が横向き(もしくはやや後方向き)になる形を作る事ができます。
この状態からボールを打つことができれば、体を回転させやすくなり、遠心力がラケットに伝わり強いボールが打てるようになって、かつ、体も安定します。
このバックハンドの基本形を子供に覚えさせるためは、足の使い方同様、しっかりと打つ前に体を止めるということも覚えさせないといけません。
打った後に惰性で体が流れてしまったり、打ち終わりにジャンプしたり歩き続けてしまう打ち方は間違いです。
まずはボールを追いかけたスピードをしっかりとコントロールし、打つ直前の2歩でしっかりと止まることが必要です。
下の写真のように、右足(効き手と同じ足)が前にくる状態で止まります。
足を伸ばしたまま止まる事は難しいですから、膝を曲げて重心を落とすとスピードを殺しやすくなります。
そしてボールを打った後は、中央へ戻るため3歩目の足を体の横に持っていきます。
これで流れてしまいそうな体にストップをかかけつつ、サイドステップで中央に戻りやすくなります。
ここまでがバックハンドストロークの一連の流れとなります。
下の写真のように、かかとを上げて打ち終わるスタイルは覚える必要はありません。
スイングした力の逃げ場所が無くなりますし、体幹の出来ていない子供には無理な体勢となるので怪我に繋がります。
バックハンドストロークを覚えるための練習方法
ここからは正しいバックハンドストロークを覚えるための練習方法をご紹介します。
こちらのテニスでうまくボールが打てない子供の共通点とは?でも書いていますが、静止状態から「イチ・ニ・サン」というスイングの練習(素振り練習)はしなくても大丈夫です。
練習を重ねれば、自然とステップはできるようになりますので、あまり固定観念を植え付けないようにしましょう。
正しいバックハンドストロークを覚えるためには、1つ1つ動きを止めて練習してみることから始めます。
まずは指導者と子供が5メートルくらいの距離を取って向かい合います。
そこから子供を走らせ、近づいてきたら2歩で止まります。
このときに効き手と同じ足が前になっているか(足が水平に揃ってしまっていないか)、そしてラケットのテイクバックができているか確認します。
その後、手出しのボールを出して打たせます。
打ち終わりに左足(3歩目)が体の横にくるようにしましょう。
この練習でバックハンドの動きを覚えさせ、上手くできるようになったら、1連の流れとして練習をしていきます。
ボールを出すタイミングはギリギリ追いつくぐらいのタイミングではなく、子供がスピードを緩めたあたり。
ある程度余裕を持ってボールをだしましょう。
あくまで体をコントロールして打つ練習となります。
指導者は、子供が体をしっかり止められているか、打ち終わりに惰性で動いていないかをチェックするようにしましょう。
もう1つ技術的な面を教えるとすれば、ボールのミートポイントについてです。
人間の体の仕組みとして力を入れやすい位置というのは、重心の真横ではなく、重心からやや前の位置となります。
ですから、ミートポイントは体の前と教わる事が多いと思うのですが、それだけでは子供は理解できません。
なぜなら、ラケットを振って、そのまま体の前でボールを捉えてしまうと、ラケットの面が傾いてしまうからです。
これでは右にボールが飛んでしまいます。
「ミートポイントは前」という指導も大切なのですが、一緒にラケットを水平にすることも指導しなくてはなりません。
これは大人が思っているより子供には難しい技術です。
丁寧に指導していきましょう。
実戦向きのバックハンドの練習方法
最後はサイドステップを織り交ぜたバックハンドストロークの練習方法です。
スタート位置から走ってボールに向かい、これまでご紹介してきた要領でボールを打ちます。
打った後は「サイドステップでスタート位置まで戻る」という、実戦でよくあるシーンを切り取った練習となります。
実際に動きながら打つとミートポイントがずれやすく、意図しないスピンがかかったりすることもあります。
右利きのバックハンドだと、左下のスピンがかかりやすくなると思います。
こういった場合はボールとの距離感が悪いか、ラケットが開いている可能性が高いです。
しっかりとミートができていないようなら、練習を止めながらでも距離感やラケットの向きなどについて指導してあげたほうが良いと思います。
バックハンドストロークのまとめ
バックハンドストロークは、なるべく子供のうちに基本を習得させ、苦手意識をつけないことが大切だと思います。
サッカーでも逆足を利き足のように使える選手は重宝され、逆足が苦手な選手はプレーが限定されやすくなります。
テニスでも、相手にバックが苦手だと思われてしまえば、それだけで不利になってしまいますよね。
子供のころからしっかりと基本を抑えていれば、こういった心配も少なく、体が大きくなってからバックハンドを武器にすることも可能となるでしょう。
指導のポイントとしては、ご紹介してきたように足の使い方です。
「体をひねる」とか「横を向いて」という指導をするのではなく、自然と体が横を向く足の使い方を覚えさせることがポイントです。
そして打ち終わりに体をコントロールするところまで覚えられれば完璧です。
バックハンドストローク練習の参考にしてみてください。