子供へのテニスの教え方とコミュニケーション
テニスに限らず、子供にスポーツを教えるというのは、こと難しく、果てしない時間がかかるものです。
特にテニスの場合は子供にわかりにくいルールも多く、ボールをワンバンで返さなくてはいけないとか、ボールがラインを越えてはいけないなど、3歳~6歳くらいでは難しいルールも多いです。
こういった難しいルールをすぐに覚えさせる必要はありませんが、ラケットを振るという動作やボールを追いかけるという動作は、8歳くらいになって体がしっかりしてくれば、大人が教えなくても何となくできてしまう子も多いでしょう。
しかしキッズ世代(4歳~6歳)からテニスやスポーツを教える場合は別です。
子供の本能のままに動いてしまうばかりで、テニスのテの字にもならない子がほとんどだと思います。
脳や筋肉が未発達なので仕方がないことなのですが、大人が自然にできてしまうようなことを4歳~5歳くらいの子供に教えるにはどうしたらよいでしょうか?
今回は子供へのテニス(スポーツ)の教え方について考えていきたいと思います。
子供への指導方法
小さい子供は説明をされて動くことが苦手です。
小学生(8歳ぐらい~)になれば話して考えさせるということができますが、5歳以下の子供の場合は口で説明するだけでなく、自らがやって見せてデモンストレーションをすることが大切です。
「こうやってやるんだよ」とお手本を見せながら、子供にマネをさせていきましょう。
そして大切なのが、1度失敗させること。
子供が間違っていたやり方を、親がそのままやって見せて「パパはこうやっていた?」と聞き、間違いに気付かせます。
子供の動きを言葉で説明するのではなく目で教えていくのです。
「ここはこうしないで、こうやろう」と、正しい動きと間違った動きを比較させ、注意点を教えるわけです。
3~5歳くらいの子供には、これを根気よく続けていくと口で説明するよりも何倍も速く動きを理解をしていきます。
そして間違いを改善ができたら、しっかりと褒めてあげましょう。
子供たちは理論的な言葉ではなく、親や指導者のリアクションを見て「良いこと・悪いこと」を判断しています。
何が良くて何が悪いのか、それを理解させることも親や指導者の役割です。
言葉で指導する?怒る?
子供に楽しくスポーツをさせることはとても大切なことですが、なにかを間違ったまま「楽しさだけ」を追求することは、子供にとって良いこととは言えません。
本来スポーツ(テニス)が上手くなる・なにかを達成するという際には、必ず努力が必要となります。
スポーツを通じて「できない」という悔しさを経験し、努力の末に「できた」という達成感を味わうことが、何よりもすばらしい教育だと私は思っています。
ですから、この「悔しい」「できない」という経験を大人がさせないようにしたり、「楽しさだけ」でスポーツをさせることは大変もったいないことと感じます。
とはいってもまだまだ子供。
少しのことで大きな挫折感を味わってしまうかもしれません。
ですから、辛さや苦しさは、子供の性格に応じて大人が調整してあげる必要があります。
子供はひとりひとり個性がありますから、怒られて努力する子もいれば、怒られると何もできなくなる子もいます。
このあたりは性格を見極めて対応することが大切ですが、1番大事なことは練習すると出来るようになるということを体験させること、つまり成功体験と言われるものです。
この成功体験を身につけるためには、まず日々の練習の小さいことから成功体験させていくことが大切です。
どんな練習でも良いので、最初は「その練習がちゃんとできていない」ということを理解させるところから入りましょう。
子供の性格によって「できていない」とストレートに言ってもいいですし、「パパと同じことができてる?」と優しく言っても問題ありません。
とにかく最初は出来ていないということを認識させる事がポイントです。
そして親と一緒に練習を繰り返します。
間違ったりできなかったりすれば、冒頭でも述べたようにその都度手本を見せながら努力させるというのが大切なプロセスとなります。
そうして練習を繰り返し、できなかったことができるようになったときに「すごい!」「できたじゃん!」と言って沢山褒めてあげましょう。
すると子供はとても嬉しそうな笑顔を見せるはずです。
これこそが成功体験となるのです。
つまり最初から何でもかんでも褒めるのではなくて、「できていない」というところからスタートし、努力する過程を踏んで、結果が出た時に褒めてあげると言う流れです。
そうすると『できなくても、練習するとできるようになるんだ!』という経験が自ら努力するきっかけになったり、壁にぶつかってもくじけない精神力を身につけることができていきます。
これは心理学の世界でも証明されていて、子供を褒めるときは「そのプロセス」を褒めることが重要と言われています。
最初のハードルはどんなに低くても構いません。
努力して乗り越えたことを褒めてあげてください。
大人になれば難しくてできないことなど沢山でてくるでしょう。
それはスポーツだけでなく、勉強や人間関係でも同じです。
ただ小さいころから「乗り越えることができる」というイメージを持たせることがなによりも大切だと私は考えています。
そしてスポーツには礼儀から精神力にいたるまで、子供を成長させる沢山の要素がある、ということを知ってほしいと思います。
続いては子供へ怒るときの怒り方について考えてみましょう。