子供へ怒るときの怒り方
皆さん、子供に注意するときや怒るとき、どのような言い方をしていますか?
もちろん大人が怒ることなく、元気いっぱいに成長してくれるのが一番良いことですが、子供が悪いことや危険なこと、人を傷つけることをしたら大人として怒らなければいけません。
そんな時に使える、大人や指導者のための感情のコントロール方法や、子供が話を聞いてくれる方法をご紹介したいと思います。
なぜ上手くできないのか?の理由
テニスに限らず、ほかのスポーツや勉強でも、何度教えても上手くできず、親や指導者の方がイライラしてしまうことはよくあると思います。
そんなとき、つい「なんでできないの!?」「さっきも言ったでしょ!」と怒ってしまいたくなる方も多いのではないでしょうか。
逆に励ますつもりで「練習すればいつかできる」と声をかけるのも良いことですが、何度も教えて理解ができないのは伝え方が悪いか、子供が話を聞いていないかのどちらかのため、そのまま練習を続けても非効率です。
ではなぜ子供に大人の説明が伝わらないのでしょうか?
脳科学や心理学の研究では、8歳前後までの子供は物事を理解する力はとても弱いということが分かっています。
つまり、それがなぜできないのか?なぜできたのか?と考えること自体がとても複雑な情報処理が必要なため、10歳くらいまで成長しないと理解しようとしないのです。
「きみはなぜサーブができるの?」「あなたはなぜテニスで勝てるの?」
このような質問を小学校2年生くらいの子供に聞いても、「練習したの!」や「習っているの!」という程度で、しっかり説明できる子はほとんどいないと思います。
一方で、これくらいの年齢でとても大切になるのは「できた!」という本人の成功体験です。
子供自身がその意味を分かっていなくても、できて嬉しい気持ちであったり、周りの人が喜んでくれたリアクションを見て、良いこと・悪いことの判断をしています。
この「できた(できない)」の経験を繰り返し、精神的にも成長をしていくと「なぜできたのか(なぜできないのか)」という関心が自然とわいてくるようになります。
この過程がとても大事で、「なぜ」を子供のころから追及していると、いつまでも子供の探求力が成長しません。
逆にできなかったときには、物事のレベルを下げて成功体験を増やすか、「応援しているよ!」と励ましてあげると良いでしょう。
教えているときの怒り方
ここまで「子供が理解できない理由」と「理解できるようになる仕組み」をご紹介しました。
次は、冒頭でも触れた怒り方についてです。
まず間違えてはいけないのは、いくら怒っていても
「あなたには出来ない」
「才能が無い」
「向いていない」
これらの言葉は絶対に言ってはいけません。
なぜかというと、子供自体を否定してしまう言葉のため人格を否定することになってしまうためです。
やる気や気持ちを萎縮させてしまうだけでなく、何が悪いのかも伝わらないため、最悪の怒り方となります。
これ以外にも怒り方というのは色々あり、大きい声で怒る指導者もいれば、長い時間怒る親、見て見ぬふりをするコーチなど、様々な方がいらっしゃいます。
統計的には、怒る声の大きさや怒る時間によって、子供に与える影響は変化しないと言われています。
また、子供に恐怖心を与える怒り方も、委縮してしまうだけなので効果は薄いと言われています。
怒るときに効果のある怒り方というのは、子供に対して自分(指導者や親)の感情を吐き出すのではなく、自分の気持ちを子供に伝えることです。
「なんで話しを聞かないの!それじゃぁ上手くならないよ!」と言うよりも「話を聞いてもらえなくて悲しい。君が上手になってほしい。」と自らの気持ちを伝え、子供自身に「僕のためにやってくれているんだ」「私に教えてくれているんだ」と思わせることが大切です。
つまり、『上手くなりたいなら練習!』というように論理的に怒るよりも、どれだけ子供のことを想っているのかを伝えてあげることが大切なのです。
またもう一つ大事なことは、子供の話しを聞くということです。
悪いことをしたときに頭ごなしに怒るのではなく、「どうしたの?」と聞いてあげることが大切です。
そうすると、本当に悪いことだと分からなくてやってしまったパターンと、悪いとわかっていて悪いことをしたという2つのパターンが見えてきます。
前者の場合は、上記のように怒って諭してあげれば良いのですが、後者の場合は何かに気付いてほしかったり、助けを求めているサインです。
こういった場合には怒ることなく、トコトン話しを聞いてあげることが大切となります。
このように、子供が悪いことをしたときの怒り方には、大人が気を付けなければいけないことが沢山あります。
大人も完璧な人間ではないので、感情を表に出してしまうこともありますが、子供と対峙する際は「思い通りにいかなくて当然」というスタンスで構えておきましょう。
そうすると、大抵のことは落ち着いて対処できるはずです。
ご紹介した内容は、こちらの書籍でも詳しく書かれています。
子供へ指導する方にとっては、とても役に立つことが書かれているので、日々の指導の一助としていただければと思います。