ラリー中に後ろへ下がる動き方を覚える練習
テニスを始めて数年、基本的なスイングや手出しボールが打てるようになったのに、子ども同士でのラリーが上手く続けられないという子は多いです。
そういったラリーが苦手な子が多いのは、動きのあるボールを打つ練習や、自分自身が動くという練習をしてきていないことでボールの予測が甘いことに原因があります。
ボールの予測が苦手な子供、目の前に来たボールをそのままの姿勢で打ってしまったり、打点が高すぎてフォームが崩れたり、ボールとの距離感が間違っていたりと、様々面で技術的な問題にぶつかってしまいます。
今回はスムーズにラリー練習へ入る為に抑えておきたい体の動かし方、特に後ろへの下がり方についてご紹介していきたいと思います。
ラリーに必要なのは事前の準備
ラリー練習はキッズやジュニアにとって、それまでの練習とは一線を画す高難度な練習です。
ボールが遠くから飛んでくるだけでなく、左右の横の動きに加え前後の動きもあり、ボールの高低差まで考慮しなくてはなりません。
今まではコーチや指導者が打ちやすい位置にボールを打っていてくれたかもしれませんが、子供同士では毎回毎回飛んでくるボールが違うわけですから、練習難度が高くなるのも当然です。
それでも、一定のスキルを習得したら、すぐにラリー練習を始めてしまうスクールも少なくありません。
ラリー練習で思うようにボールを飛ばせなかったり、すぐにネットに引っかけてしまう子供は、総じてランダムなボールを打つための練習をしていないことや、ラリーにつながる練習をしていないことが多々あるように思えます。
例えば、「自分の体で近くでワンバウンドして、後方へ高く弾むボールを打つ」という練習はしたことがあるでしょうか?
(自分が下がらなくてはいけない状況)
本来であればサイドステップなどを使って後方に下がり、ボールが落ちてくるのを待ってからスイングを始めるというのが正解です。
しかしラリーが続かない子供やイレギュラーなボールへの対応を練習をしていない子供は、来たボールをそのままの位置(姿勢)で打とうとしていたり、自分が動かずボールが来るのを待ってしまい、そのままボールが後ろに流れて行ってしまった、というケースがほとんどになります。
つまり飛んで来たボールに対して、どこに体を移動させれば良いかを理解していないことがほとんどです。
ラリーでしっかりとボールを打てない原因は、
・予測ができず動き出すスタートが遅い。
・ボールの予測が間違っている。
・下がりながら打つ準備ができていない。
・テイクバックをしていない。
などが考えられます。
簡単に言うと、ボールの軌道・落下点・打つ準備、この3つが整っていなければいけないということです。
例えば、飛んでくるボールの軌道に合わせて上手く体を移動させたとしても、テイクバック(準備)ができていなければ、慌ててボールを打つことになりますから、ボールに勢いが出ずネットに引っ掛かってしまいますね。
このように、ラリーでボールが打てない子供には明確な原因があります。
「練習してるのにテニスが上手くならない」「いつまでもラリーができない」と苛立ってしまう親御さんもいるでしょう。
しかし、それは子供に原因がある訳ではなく、必要なステップや必要な練習をこなしていないからかもしれません。
本格的なラリー練習に入る前に、ラリーに必要となる能力やコツを順を追って習得させていけば、ラリー練習へスムーズに移行できるはずです。
ボールの軌道と落下点を予測する練習
それでは「ボールの軌道・落下点・準備」この3つの課題を解消するための練習方法についてご紹介していきましょう。
ボールの軌道を予測したり、落下点の予測には長い距離のワンバウンドキャッチボールが効果的です。
この練習では相手のボールを投げる動作を見てボールの方向を予測したり、ボールをキャッチするために自分自身がどこに動けば良いのかを考えるきっかけとなります。
どこでもボール1つあればできる練習ですね。
コート上でもワンバウンドキャッチボールをして、落下点の予測精度を上げていきましょう。
ネットを挟んだワンバウンドキャッチボールは、状況がラリーに近いので効果も高いです。
さらに1つルールを加えることでよりテニスに応用が効くようになります。
それは、ボールの落ち際でキャッチするという条件をつけることです。
つまり、1番ボールを取りやすい胸の前ではなく、しゃがんだ状態でボールをキャッチするということです。
これはミート位置を体で覚える練習で、ラケットを高い位置で振らない為の練習になります。
最初のうちは上手くボールが捕れないと思いますが、捕れない事で学習をし、繰り返し行う事で位置を修正(補正)するようになってきます。
これを続けていくことで、徐々にボールの予測や距離感が測れるようになっていきます。
ボールが捕れるようになったら少しずつボールの難易度をあげて、前後左右に動きながらボールをキャッチできるようになりましょう。
ラリー中の後ろへの下がり方を覚える
ラリー練習の一環として忘れがちなのが、前後に来るボールへの対処方法です。
ラリー中は当然ながら前に落ちるボールもあれば、後ろに流れていくボールもあります。
特に後ろに下がらなくてはいけないボールは、事前に教えていない限り、バックステップやサイドステップをして打てる子供(キッズ世代)は、ほとんどいないと思います。
それはなぜかというと、「後ろに下がったほうが打ちやすい」という感覚を、子供がまだ身に着けていないからなのです。
そうなるとショートライナーのボールも、高く弾んだボールも、自分の目の前に来たタイミングでボールを打とうとしてしまいます。
その結果ミートが上手くできなかったり、力が伝わらなかったりしてラリーが止まってしまうことになります。
この「後ろに下がったほうが打ちやすい」という感覚を身に着けさせるためには、実際にラケットとボールを使いながら、自分より後ろに飛んできたボールを打つ練習をすることが一番です。
とは言っても説明は大事。
子供が「何をしているか分からないまま」練習をしないように、しっかりと練習の意味を教えることを忘れないでください。
後ろに下がってボールを打つときに、体はどこにあれば良いでしょうか?
ボールより前でしょうか?
ボールより後ろでしょうか?
正解はボールよりも後ろですね。
体がボールより前にあると、ボールを強く打つことはできないので、前に飛ばすことができないということを認識させることが大切です。
写真のようにボールの位置を示しながら、体より前にあるボールは力を伝えやすいということを教えておきましょう。
力の入る位置というのをしっかりと説明をしたら、実際にボールを使った練習をしてみましょう。
子供はネット際に正面を向いた状態で立たせます。
親や指導者はネットの反対側から子供と向き合い、サービスライン付近へ山なりで投げます。
子供はサイドステップを使い後方に下がりながら落下点へ入り、ボールが落ちてきたタイミングでボールを打ちます。
この時に大切なのが、上記で説明した「ボールよりも後ろに回り込むこと」と下がりながらテイクバックを行うということです。
テイクバックができていないと、落下地点に入ってからテイクバックをしなくてはならないので、時間が足りずに振りが小さくなってしまいます。
下がっているときにラケットを立たせて、いつでも振れる準備をすることが大切です。
子供がラケットを寝かせたままサイドステップをしてしまうようなら、その都度止めて説明をしてあげるようにしましょう。
あとは体が流れていないか、ラケットが下から出てきているか、この辺りを見ながら練習を行うと良いと思います。
正面から来るボールを打つ練習は沢山あり、テニススクールでも練習する機会は多いと思いますが、後方へ流れるボールを打つ練習はほとんど見かけることがありません。
後ろへの下がり方を知っているか知らないか、練習をしたことがあるかないかで、ラリーの質は格段に変わります。
毎日の練習に取り入れるほど時間を割く必要はありませんが、ラリー前練習の1つとして取り組んでおくと、ラリー練習でつまずくことは大きく減ると考えす。
ぜひ参考にしてみてください。