子供の運動神経を良くする練習方法
運動神経の良い子供、運動神経の悪い子供。
この違いはどのようにして決まるのか不思議に思った事はありませんか?
今回は、テニスに限らず全てのスポーツに関係する運動神経について取り上げてみたいと思います。
この記事の最後には子供の運動神経を良くする練習方法もご紹介します。
運動神経が良いとは何か?
皆さん「運動神経が良い」とは具体的にどういうことかお分かりになりますか?
足が早い?球技が上手い?物覚えが良い?
実は、これらの事には全て共通点があります。
それは「イメージ通りに体を動かす能力に長けている」ということです。
特に物覚えが良い子に運動神経が良い子供が多いのはこの為で、運動神経が良いと見た情報(教えてもらったこと)をすぐに自分の体で表現できるため、様々なスポーツを上手にこなすことができるのです。
つまり、自分の体を脳からの命令通りに動かせるかどうかが、運動神経の良い人と悪い人に分かれる要因となります。
この運動神経が急激に発達すると言われているのが0歳~12歳までの間。
特に発達が著しくなる8歳~12歳の年代は、脳科学を研究する方の間ではゴールデンエイジと呼ばれています。
このネーミングは、それほど運動神経の発達に大切な期間という事を表しています。
下の表をご覧ください。
この表は、人間の神経系の成長をグラフにしたものです。
0歳~3歳までは、立つ・歩く・走るといったゼロから1になるための発達、4歳~6歳は飛ぶ・ひねるなど様々な複雑な動きを体で理解して発達する期間、そしてゴールデンエイジは考えながら動く神経の発達が著しい期間となります。
テニスで例えるなら、6歳までがボールを打つ基礎練習期間で、運動効率や相手のことまでを意識して練習するのがゴールデンエイジという年代となります。
このゴールデンエイジは、ひたすら体を動かす練習よりも、「考えながら動く」という要素がとても大切で、脳を動かしながら体を動かすことが運動神経を大きく伸ばす要因になります。
またゴールデンエイジに専門種目以外のスポーツを習っていたり、手だけではなく足、足だけではなく手というように、様々な運動機会を与えることも運動神経の発達を促進させます。
テニスの錦織圭選手も、テニスだけでなく水泳やサッカーなど、小さいころから複数のスポーツを経験していたとのことです。
これが偉大な選手になることができた1つの要因である事は間違いありません。
ちなみに、このゴールデンエイジに運動をしなかった子供、つまり小学校中学年から高学年にかけて勉強一筋だった子供は、運動が苦手という大人になっていることが多いようです。
これは運動神経が発達する時期に運動をしなかったため、運動神経が良くならなかったということですね。
ただし、ゴールデンエイジで全てが決まる訳ではありません。
20代、30代、お父さんお母さん世代も、悲観する事はありません。
運動をつかさどる脳神経は衰えるということがなく、いくつになっても練習を続けていれば物事が上達する事は、すでに脳科学で分かっています。
年齢的な肉体の衰えは致し方ありませんが、脳神経が衰えないという事は、技術の向上は何歳になっても望めると言う事ですので、ゴールデンエイジに運動をしないかったからといって取り返しがつかないという訳ではなく、何歳になってもスポーツは楽しむ事ができるということです。
ゴールデンエイジに効果的な練習はラダートレーニング
ここまで、運動神経とは何か?運動神経はいつ発達するのかをご紹介してきました。
そしてここからは、運動神経をよくする練習方法をご紹介します。
上記で、運動神経とは「正確に自分の体をコントロールすること」とご説明しました。
ですから体と脳を連動させる練習に取り組むことで、運動神経の発達に良い効果が期待できます。
そこでオススメする練習はラダートレーニングです。
近年、陸上やサッカーだけでなく、小学校の授業でもラダートレーニングが取り入れられるようになり、その効果は折り紙つき。
特に導入年齢が早ければ早いほど効果の高いトレーニングとなりますので、ぜひキッズ・ジュニアの世代から練習に取り入れてみてください。
ラダートレーニングの効果
ラダートレーニングという練習は、もともと陸上競技やサッカーなど、主に足を使う競技のトレーニングとして行われてきました。
それは足を速く動かして足の瞬発力(筋力)を高めたり、敏捷性(アジリティ)の上昇など、足を速く正確に動かせるようになるための練習でした。
もちろんテニスをする上でも足を速く動かすことは、ボールを追いかけたり、ボールとの距離感を調節したり(歩幅合わせ)などで大変重要な要素となりますが、ラダートレーニングを小さい頃から取り組んでおくことで運動神経の向上にも繋がってきます。
ラダートレーニングは、はしごを横に倒したような形になっていて、枠の中に足を正確に入れていくトレーニングです。
3歳~6歳くらいの子供には、決まった場所に決まった足を動かすという動作は中々難しいもの。
この動きを反復することによって、「体を思った通りに動かす(脳の命令通りに体を動かす)」という能力が向上し、運動神経を鍛えることができるのです。
一方で、運動神経が悪いと言われる大人(または子供)は、このラダートレーニングが苦手(難しい)と感じる人が多いと思います。
それは上記にも述べてきたように脳と体の連動性の問題で、思った通りに体を動かせないので難しいと感じるのです。
「自分は運動神経が悪いんだよな~…」と思う方は、このラダートレーニングに取り組んでみると、運動神経が向上し、日々の生活でも体を動かしやすくなるでしょう。
運動神経を良くするラダートレーニングの練習方法
それでは、実際のラダートレーニングの練習方法についてご紹介していきます。
ラダートレーニングには様々な方法があり、どれが正しいということではありません。
年齢やレベルにあった練習方法に取り組むようにしてください。
また3歳~6歳というキッズ世代、または初めて取り組む場合は「速さ」を追求する必要はありません。
冒頭からも述べている通り、ゆっくりでもいいので正確に足を動かすという点を大切にしてみてください。
(イラストは左から右に進んでいます。)
■イチ・イチ・イチ
1マスに1歩ずつ足を入れて進みます。
■イチ・ニ・イチ・ニ
1マスに2歩ずつ足を入れて進みます。
■イチ・ニ・サン
1マスに3歩ずつ足を入れて進みます。小さい子供の場合は3文字のことば(いちごやメロンなど)を言いながら取り組むと良いでしょう。
■サイドステップ
横向きになり、1マスに2歩ずつ足を入れて進みます。
■バックステップ
後ろ向きになり、1マスに2歩ずつ足を入れて進みます。
■クロス
足を交互にクロスしながら、1マスに1歩ずつ進みます。(右足が左の枠、左足が右の枠を踏みます。)
■グー・パー
両足を入れた状態(グー)から、マスの外に足を出します(パー)。(同じ数字は同時に着地します。)
■外・中・外
両足ジャンプをしながら、ラダーの外、中、外と進んでいきます。
■外・外
両足ジャンプをしながら、ラダーの外を進んでいきます。
■180度(ワンエイティ)
横向きになり、左右のそれぞれの足をマスに入れた状態からスタート。
反回転しながら、両足着地で1マスずつ進んでいきます。
■外・中・中
ラダーの中からスタートして、外・中・中の順で進んでいきます。
■クロスカントリー
右足を入れたら左足を出す、左足を入れたら右足を入れて進みます。(両足着地で、前後を入れ替えていきます。)
■ケンケン
右足だけ(左足だけ)で進みましょう。
■両足飛び(2個飛ばし)
両足ジャンプで2個飛ばして進みます。(年齢に応じて飛ばす数を変えます)
小学校中学年くらいまでラダートレーニングを続け簡単にこなせる年齢になったら、早さを追求し、瞬発力を高めるためのトレーニングへと発展させていくと良いでしょう。
次は子供の足を早くする練習方法についてご紹介します。