子供のコーディネーショントレーニングメニュー
皆さん、コーディネーショントレーニングという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
知っている方はプロスポーツ選手を目指したことがある人、または指導者を目指している方なのではないかと思います。
私も子供のトレーニング方法を勉強するまでは「コーディネーショントレーニング」という言葉すら聞いた事はありませんでした。
コーディネーショントレーニングとはなにか?
とても簡単に言うと、筋肉と脳(神経)を連動させるトレーニングのことをコーディネーショントレーニングと言います。
体をイメージ通りに動かすことや、脳から筋肉の伝達を早めることなど、脳と体の連動性を向上させるトレーニングとなります。
スポーツにおけるコーディネーショントレーニングで、どんなことに効果が発揮されるかと言うと、1番顕著なのは技術習得能力が上がることです。
例えば新しい技術を取り入れようとした時、または新しい練習をするとき、何かを考えながら動作をしなくてはいけないときに、すぐに順応できるようになるので技術の習得までの時間が早くなり、効率的な練習をこなせるようになります。
時々、「飲み込みが早い」という子供がいますが、そういう子供を分析してみるとコーディーネーション能力が高いということが多々あります。
また現代のプロスポーツ界においても、「コーディネーション能力が低い選手は生き残ることができない」と言われるほど、技術習得能力は成績に影響する重要な要素となっています。
では具体的にコーディネーショントレーニングとは何なのかと言うことですが、例えば肩(腕)を左右で反対に回す運動があります。
右肩を前に回し、左肩は後に回すというものです。
運動神経の良い人は少しやるだけで出来てしまいますが、運動神経の悪い人は両方とも前回しになってしまったりして、なかなか上手く回すことができません。
これも簡単なコーディネーショントレーニングの1つなのですが、これが上手くできる人は脳からの信号を実際の動きに変換する能力の高いということになり、上手くできない人は自分の体を想うように動かせない人ということになります。
つまり脳と体の連動性に差があるということです。
「自分の体を思い通りに動かす」
これはスポーツだけでなく、人間が生きていく上でもとても重要な能力と言えるわけですが、日本の義務教育(体育の授業など)においてコーディネーショントレーニングを取り入れている学校はまだまだ少なく、運動神経の二極化が進む現代ならではの問題とも言える部分かと思います。
子供のコーディネーショントレーニングメニュー
それでは、学校では教えてくれないコーディネーショントレーニングのやり方をご紹介していきます。
コーディネーショントレーニングには、決まったメニューがある訳ではありません。
頭と体を同時に動かすことがポイントで、普段のトレーニングの中でも「条件を設定してルール通りに体を動かす」という風にするだけでも、立派なコーディネーショントレーニングになります。
いくつか例をあげながら、子供向けのコーディネーショントレーニングメニューをご紹介します。
まずは簡単なところで、ボールキャッチからはじめてみましょう。
用意するのはカラーボールだけ。
ただボールを投げてキャッチするだけでは動体視力の強化にしかなりませんが、様々な色のボールを用意して「青と赤だけキャッチする」というような「条件」、つまりルールを設けると、頭や神経の伝達能力を鍛えるトレーニングになります。
いざやってみると、普段のボールキャッチとはまったく違う練習になることに気がつくはず。
捕ってはいけない色のボールを捕ってしまったり、
捕るボールを見逃してしまったり。
元々キャッチングが上手な子でも、なかなか思うようにボールをキャッチすることができないと思います。
ただ、これはボールを捕る練習ではないので、上手くボールが捕れなくても問題ありません。
コーディネーショントレーニングにおいて結果は重要ではなく、大切なのは「捕る・捕らない」という判断を頭で考えていることとなります。
つまり頭を使って、体を動かしていることが重要なのです。
慣れてきたら「青と赤を捕らない」と、逆の考えをさせるのも効果的です。
次は、同じボールを使ったコーディネーショントレーニングです。
子供は足を開いて立ちましょう。
その状態から、親や指導者がボールを左右、もしくは足の間に向かってボールを転がします。
子供は左に転がってきたボールは右手で。
右に転がってきたボールは左手で、片手でキャッチします。
足の間に来たボールはジャンプをするというルールです。
指導者はランダムでボールを転がしましょう。
このコーディネーショントレーニングは、神経系を鍛えるだけでなく、テニスの動きも取り入れたトレーニングとなります。
来たボールを逆の手でキャッチする、この動作はフォアハンドでボールを打つ時の左手の動き、打つ前に体をひねるという動きと同じになります。
この練習を行うことで、コーディネーションだけでなく自然とテニスの動作も練習することができるのです。
ただ動作が複雑なので最初は戸惑うと思いますが、考えようとしていることこそが頭を使っている証拠。
上手くできるまでには時間が必要ですが、いっぱい考えさせましょう。
考えれば考えるほど大きな効果が見込めるのがコーディネーショントレーニング。
上手く出来なくても、その出来ない時間が大切となりますから、焦らず何度も繰り返してトレーニングしましょう。
最後はマウンテンクライマーと呼ばれる運動に、合図をした時だけ両足を前に出しカエルのポーズをするコーディネーショントレーニング。
聴力と脳、体を連動させます。
まずこれがマウンテンクライマーの形です。
手をついた状態で片足ずつ足を体に近づけ、その場で走っているような運動になります。
この動作を速く連続で行い、親や指導者が手を叩いた時に両足を前にして制止します。
このようにカエルのポーズになります。
そして、また手を叩いたらマウンテンクライマーを始めます。
これを5回ほど繰り返しましょう。
このトレーニングでは音を聞く、反応する、動きを変えるという運動で、聴力や伝達速度を鍛えることはもちろん、足の瞬発力も鍛えることが可能です。
コーディネーショントレーニングが最適な年齢
コーディネーショントレーニングはどの年代にも効果的なトレーニングですが、特に効果を発揮するのは7歳~10歳前後と言われています。
この時期は頭(脳)の発達が著しく、教えたことをスポンジのように吸収できる特別な時期です。
この時期に脳と体を一緒に鍛えてあげることで、神経系が発達し子供の眠った力を目覚めさせてくれます。
この年代のお子さんをお持ちの方は、ぜひ日々のトレーニングにコーディネーショントレーニングを加えてみてください。
注意点として、コーディネーショントレーニングは練習に慣れてしまう(体が勝手に動く)と効果が半減してしまいます。
ですから1つ1つの練習はごく短時間に、かつ様々な種類のコーディネーショントレーニングを取り入れるようにすると効果的です。
きっとお子さんに素晴らしい効果をもたらしますよ!